『仮面ライダー』は、変身ブームの原点

『仮面ライダー』は、変身ブームの原点として有名だが、実は、原作版『仮面ライダー』は、変身するのではない。怒りによって顔に浮かび上がる手術の傷跡を隠すために、仮面をかぶるのだ。

石ノ森はヒーロー作品を手がけるとき、安易に“正義”を謳おうとはしなかった。TV版『仮面ライダー』のナレーションで「仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと闘うのだ」と言わせたのは、石ノ森の意見であったという。正義のために、ではなく、自由のために。ショッカーに改造され、その一員となった人間は、己の意志をなくし組織の人形となる。その虚しさを知るからこそ、仮面ライダーは闘う。

人間としての幸せを捨て、哀しみを仮面の下に隠して闘うライダーは、いわば異形の存在。それはサイボーグ戦士やキカイダーにしても同じだ。彼らは、人類を守りながら、人間社会の中に居場所を持たない。守護者は、傍観者であるのだ。だからこそ彼らには、人間社会の矛盾や悪や、大いなる愛さえも見えてくるに違いない。

ヒーローは格好良い。子どもの頃に見たその格好良さばかりが印象に残り、ヒーローが何のために何と闘ったのか、記憶が曖昧である場合もあるだろう。しかし石ノ森ヒーローは、悩んだからこそ、哀しみを背負っていたからこそ格好良かったのだ。石ノ森が描いた“人類愛”、もう一度その奥深さに浸ってほしい。
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